消費者物価(全国18年12月)-コアCPI上昇率の縮小傾向が続く

消費者物価(全国18年12月)-コアCPI上昇率の縮小傾向が続く: 総務省が1月18日に公表した消費者物価指数によると、18年12月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.7%(11月:同0.9%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:0.8%、当社予想は0.7%)を下回る結果であった。



生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比0.3%(11月:同0.3%)となり、上昇率は前月と変わらなかった。生鮮食品が11月の前年比▲1.4%から同▲9.4%へと下落幅が大きく拡大したことから、総合は前年比0.3%(11月:同0.8%)と上昇率が前月から0.5ポイント縮小した。コアCPIの内訳をみると、電気代(11月:前年比5.6%→12月:同6.4%)、ガス代(11月:前年比4.0%→12月:同4.8%)の上昇幅は拡大したが、ガソリン(11月:前年比12.8%→12月:同5.0%)、灯油(11月:前年比21.9%→12月:同12.2%)の上昇幅が大きく縮小したため、エネルギー価格の上昇率は11月の前年比8.1%から同6.0%へと縮小した。



また、人手不足に伴う人件費増を背景に外食は前年比1.0%と高めの伸びを維持する一方、調理食品(11月:前年比0.6%→12月:同0.1%)、菓子類(11月:前年比0.1%→12月:同▲0.4%)の上昇率が鈍化したことなどから、食料(生鮮食品を除く)の伸びが11月の前年比0.9%から同0.7%へと低下した。



コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.48%(11月:0.64%)、食料(生鮮食品を除く)が0.16%(11月:0.18%)、その他が0.06%(11月:0.07%)であった。消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、12月の上昇品目数は272品目(11月は276品目)、下落品目数は180品目(11月は178品目)となり、上昇品目数が前月から減少した。上昇品目数の割合は52.0%(11月は52.8%)、下落品目数の割合は34.4%(11月は34.0%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は17.6%(11月は18.7%)であった。



上昇品目数の割合は18年8月に50%を割り込んだ後、9月以降は再び50%を上回っている。しかし、17年までに比べるとその水準は低く、物価上昇に裾野の広がりは見られない。先行きは、円高による輸入物価下落の影響が国内物価に波及することにより、下落品目数が増加することが見込まれる。コアCPIはエネルギー価格の上昇幅縮小などから2ヵ月連続で上昇率が縮小した。原油価格(ドバイ)は10月上旬の1バレル=80ドル台をピークに60ドル程度まで下落している。市場価格が遅れて反映される電気代、ガス代は上昇率の拡大が続いているが、18年度末頃をピークに鈍化することが見込まれる。また、すでに前年比上昇率が大きく鈍化しているガソリンは18年度中、灯油価格は19年度入り後にマイナスに転じる可能性が高い。エネルギー価格によるコアCPI上昇率に対する寄与度は18年10月の0.7%程度から19年春頃には0.3%程度まで縮小し、夏頃にはマイナスに転じることが予想される。



また、サービス価格との連動性が高い賃金は伸び悩みが続いているが、18年入り後の景気減速や先行き不透明感の高まりなどから、19年の賃上げ率が前年を上回ることは期待できないだろう。基調的な物価上昇圧力が高まる材料は見当たらず、現時点では、コアCPI上昇率は19年春頃にはゼロ%台半ば、夏頃にはゼロ%台前半まで鈍化すると予想している。 



 







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