オフィスは需給逼迫が継続。 Jリートは物件の入替を積極化。 ~不動産クォータリー・レビュー2018年第3四半期~

オフィスは需給逼迫が継続。 Jリートは物件の入替を積極化。 ~不動産クォータリー・レビュー2018年第3四半期~: 2018年7-9月期の実質GDP(1次速報)は、前期比▲0.3%と四半期ぶりにマイナス成長となった。4-6月期の高成長の反動や自然災害に伴う供給制約によるところも大きいが、米国を除く海外経済の減速を背景に、2018年に入り基調として回復ペースが鈍化している。9月の日銀短観によると、大企業・製造業の業況判断DIは「19」(前期比▲2)となり3期連続で悪化したが、依然高水準を維持している。大企業・不動産業も32(▲5)と悪化したが、前回の見通し30を上回った[図表1]。2018年9月の新設住宅着工戸数は前年比▲1.5%の約8.2万戸、このうち全体の4割を占める貸家が▲5.8%となり、全体の減少の主因となった。9月の首都圏中古マンションの成約件数は、前年比+0.7%となり2ヶ月連続で増加した。一方で9月末の在庫件数は46,701件となり高い水準で推移している[図表2]。2018年7月の都道府県地価調査では、全国平均の地価が全用途で前年比+0.1%となり27年ぶりに上昇した。国土交通省の「地価LOOKレポート(2018年第2四半期)」によると、全国100地区のうち、上昇が「95」(前期比+4)、横ばいが「5」(▲4)、下落が「0」となり上昇地区が前回から増加した[図表3]。1|オフィス



三幸エステート公表の「オフィスレント・インデックス」によると、2018年第3四半期の東京都心部Aクラスビルの賃料は39,003円(前期比+5.6%)となった[図表4]。39,000円を上回るのは2008年第3四半期以来であり、ファンドバブル時に記録した40,000円台の水準も視野に入りつつある。底堅いオフィス需要を背景に建築中のビルでもテナント誘致が順調に進んでおり、しばらくは引き締まった需給バランスが継続する可能性が高い。他の主要都市でもオフィスビルの需給は逼迫しており、札幌2.26%、福岡2.47%など低水準の空室率が継続している。



2│賃貸マンション



主要都市のマンション賃料は概ね上昇基調にある。2018年第3四半期の東京主要3区の高級賃貸マンションは、空室率が5.5%(前期比▲0.1%)へ低下し、賃料は前年比+9.8%の18,162円/月坪と過去最高値を更新した[図表5]。3│商業施設・ホテル・物流施設



日本不動産研究所によると、18年上半期の主要都市の店舗賃料は高い水準で安定的に推移しており、インバウンド消費によりドラッグストアやディスカウントストアの売上が引き続き好調である。店舗賃料単価(1階)は「銀座」・「大通(札幌)」・「心斎橋」・「栄(名古屋)」で上昇となった[図表6]。9月の訪日外国人客数は、前年同月比▲5.3%となり5年8ヶ月ぶりに減少に転じた。7月以降は地震、豪雨、台風が大阪(都道府県別訪問客数2位)、北海道(3位)と、人気エリアを直撃したため、全体の7割を占める東アジアからの訪日客が大きく減少した。9月の全国61都市ホテル客室稼働率は81.3%(前年同月比▲2.9%)と低下した[図表7]。今後インバウンド需要が早期に回復するかどうか注目される。



シービーアールイー(CBRE)によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率(2018年第3四半期)は前期比+0.8%の6.1%、近畿圏は前期比▲2.5%の15.0%となった[図表8]。2019年第1四半期の空室率は、首都圏で6.5%、近畿圏で14%程度となる見通しである。1│J -REIT(不動産投信)



2018年第3四半期の東証REIT指数(配当除き)は、6月末比0.7%上昇し年初からの上昇率は6.9%に拡大した[図表9]。需給面では、REIT市場の高い利回りに着目した海外投資家やETF(上場投資信託)経由の資金が流入する一方で、物件取得に伴う公募増資の発表も多く、REIT指数はもみ合う展開が続く。



J-REITによる第3四半期の物件取得額(引渡しベース)は5,615億円(前年同期比+84%)と大幅に増加した。1-9月累計では約1.6兆円(+41%)となり、昨年の取得額(1.3兆円)を既に上回っている[図表10]。こうしたなか、昨年来、REIT各社は現在の不動産価格の上昇を好機と捉え、物件の入れ替えを積極化しており、2017年は約3,400億円、今年上期もすでに2,500億円を超える不動産を売却した。ポートフォリオの改善と含み益の顕在化を目指す物件の入れ替えは市場の評価も高く、今後も継続することが予想される。



また日銀によると、4-6月の「個人による貸家業へ新規貸出」は、前年比で▲22.5%減少した[図表11]。今のところ市場全体への波及は限定的だが、金融機関の不動産業向け貸出姿勢の変化に引き続き注視が必要である。





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