最近の人民元と今後の展開(2019年1月号)~米中貿易戦争の停戦中は横ばい、その後は波乱含み
最近の人民元と今後の展開(2019年1月号)~米中貿易戦争の停戦中は横ばい、その後は波乱含み:
一方、米中両国は18年12月の首脳会談で、米国が19年1月1日に発動する予定だった追加関税(2000億ドル相当の製品に対する関税を10%から25%に引き上げる)を3月1日まで猶予した上で、中国は米国から農産物、エネルギー、工業製品などの購入を増やして貿易不均衡の是正を図るとともに、中国の構造的問題(技術移転の強要、知的財産権の保護、非関税障壁の是正、サイバー攻撃の停止、サービスと農業分野の市場開放)の解決に関する議論を進めることとなった。新冷戦の瀬戸際にあった米中両国が、貿易戦争を一時停止し、共存共栄の道を探り始めた点は評価できる。しかし、米中貿易不均衡の是正という点では力不足である。貿易不均衡が生じた背景には、前述の構造的問題に加えて、“米国の過剰消費”と“中国の過剰生産”という根本的な問題があるからだ1。そして、その背後には購買力平価(PPP)基準で見た人民元の割安感がある。新興国の通貨は一般に、金利水準は高いものの国際的信用が低いため割安に放置されるが、世界第2位の経済大国で大幅貿易黒字の中国もその例外ではない。現下のこうした環境は、1985年のプラザ合意前に、米国の貿易赤字が拡大していたにも拘らず、高金利を背景に米ドル高が進んだ局面を想起させる(図表-4)。今回の米中貿易協議の過程では、購買力平価(PPP)基準で見た人民元の割安感に焦点が当たり「現代版プラザ合意」のようなことが起きて、人民元が上昇するという可能性も排除できないと考えられる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予 測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。【関連レポート】
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- 12月の人民元レート(対米ドル、基準値、中国外貨取引センター)は前月末比1.1%上昇し1米ドル=6.8632元で終えた。また、日本円に対する人民元レートは、米ドルに対する日本円レートが人民元以上に上昇したため、前月末比1.7%の元安・円高で取引を終えた。
- 19年3月末に向けての人民元は、米中貿易戦争の停戦中は横ばい圏で推移する可能性が高いものの、その後は波乱含みと見ている。貿易協議が決裂すれば、中国は景気失速を回避するため利下げに踏み切り、人民元が下落する可能性がある。一方、その過程では、購買力平価(PPP)基準で見た人民元の割安感に焦点が当たり、人民元が上昇する可能性もあるからだ。想定レンジは3月以降の波乱を勘案して、1米ドル=6.3~7.2元、1元=14.9~16.5円。
一方、米中両国は18年12月の首脳会談で、米国が19年1月1日に発動する予定だった追加関税(2000億ドル相当の製品に対する関税を10%から25%に引き上げる)を3月1日まで猶予した上で、中国は米国から農産物、エネルギー、工業製品などの購入を増やして貿易不均衡の是正を図るとともに、中国の構造的問題(技術移転の強要、知的財産権の保護、非関税障壁の是正、サイバー攻撃の停止、サービスと農業分野の市場開放)の解決に関する議論を進めることとなった。新冷戦の瀬戸際にあった米中両国が、貿易戦争を一時停止し、共存共栄の道を探り始めた点は評価できる。しかし、米中貿易不均衡の是正という点では力不足である。貿易不均衡が生じた背景には、前述の構造的問題に加えて、“米国の過剰消費”と“中国の過剰生産”という根本的な問題があるからだ1。そして、その背後には購買力平価(PPP)基準で見た人民元の割安感がある。新興国の通貨は一般に、金利水準は高いものの国際的信用が低いため割安に放置されるが、世界第2位の経済大国で大幅貿易黒字の中国もその例外ではない。現下のこうした環境は、1985年のプラザ合意前に、米国の貿易赤字が拡大していたにも拘らず、高金利を背景に米ドル高が進んだ局面を想起させる(図表-4)。今回の米中貿易協議の過程では、購買力平価(PPP)基準で見た人民元の割安感に焦点が当たり「現代版プラザ合意」のようなことが起きて、人民元が上昇するという可能性も排除できないと考えられる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予 測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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