人材確保策 労働環境の見える化
人材確保策 労働環境の見える化:
厚生労働省は介護職員の離職防止や人材確保のため、離職率の低い事業所や人材育成制度を構築している介護事業所を評価する、「認証評価制度」の普及に向けたガイドラインを2019年度に策定する方針を示している。今年度中に、認証制度を実施している自治体の取組み内容を把握し、その結果を元にガイドラインを作成して全国での実施を後押しする。介護事業所の育成体制や労働環境を見える化することで、就職時の指標としての活用などが期待される。全国に先駆けて、介護事業所の育成体制評価に取組む自治体を紹介する(2019年1月10日号8面に関連記事)。
ステップアップする評価制度
きょうと福祉人材育成認証制度
京都府では2013年4月より人材育成や定着に向けた環境整備に取組んでいる事業所を認証する「きょうと福祉人材育成認証制度」を実施している。宣言→認証→上位認証の順にステップアップし、昨年4月時点で宣言615法人、認証269法人、上位認証7法人となっている。
認証を受けるには、まず人材育成に取組むことを「宣言」する。宣言から2年経過後で▽新人教育の充実▽未来を描ける職場▽社員を大切にする職場▽外部との交流――の4分野17項目(表1)について実施できているかセルフチェックし、満たしている場合に「認証」を受けられる。
さらに、認証取得後2年が経過した法人で▽福祉業界の魅力の発信▽キャリアパス・人材育成▽意欲に繋がる評価・待遇▽働き甲斐・働きやすさ▽社会貢献・コンプライアンス――の5分野112項目と、離職率などの数値評価を満たした場合に「上位認証」となる。
一番困難となっているのが有給取得率40%以上と離職率(正規社員16%未満、新卒20%未満)。京都府では宣言・認証法人が受けることができる研修を実施。人材育成計画の策定方法や、キャリアパス作成などのサポートを行っている。
京都府が昨年3月に認証事業者に行った離職率のアンケート結果と介護労働安定センターが昨年8月に公表した全国の介護事業者の離職率を比較したところ、全国平均16.2%に対し、上位認証法人で5.9%、認証事業者8.3%と約8~10ポイント差があった。
また現場で働く若手職員にスポットをあてた、「福祉の星」としてホームページ上でのインタビューやウェブムービーの公開、上位認証事業所の取組みをまとめた冊子を作成し、人材育成のノウハウの共有などにも取組んでいる。
神奈川県では、16年度より、介護を頑張る事業所を応援する独自の取組みとして「かながわベスト介護セレクト20」を実施している。介護サービスの質向上や人材育成、処遇改善に顕著な成果をあげた介護サービス事業所等を表彰し、1事業所につき奨励金100万円を交付する。現在、57事業所が表彰されている。
まずは神奈川県内の事業所が質の高いサービス提供を目指すことを宣言する(かながわ介護サービス等向上宣言)。その後、サービスの質や人材育成、処遇改善等について一定の水準をクリアした場合に優良介護サービス事業所として「かながわ認証」が行われ、さらなるサービスの質向上を実践した事業所を「かながわベスト介護セレクト20」として表彰する。
「かながわ認証」では、大きく①要介護度の維持・改善や認知症対応などの「サービスの質向上」②離職率や職場環境整備など「人材育成・処遇改善」③その他――の3つについて要介護度の変化や有給取得率、認知症高齢者への対応など13項目を点数化した(表2)。評価合計点が6割以上の事業所を認証する。
静岡県優良介護事業所表彰
静岡県が17年度に創設した「静岡県優良介護事業所表彰」は、介護人材確保やサービスの質向上を目的に、職場環境づくり等に取り組む介護事業所を表彰する。「職場環境改善部門」と「サービスの質向上部門」の2部門について評価を行う。
職場環境改善部門では▽離職防止・定着促進▽人材育成のための取組み▽福利厚生の充実や職場環境改善のための取組み――の3つ。サービスの質向上部門では、▽要介護度の維持・改善のための取組み▽利用者1人ひとりの個性や生活リズムを尊重した取組み▽地域力向上または、質向上の取組み――の3つ。
上記6項目のうち、いずれかの取組みを積極的に行って顕著な成果を挙げた事業所を評価する。取組み内容のほか、離職率や勤続年数などについても評価する。17年度は10事業所が表彰された。
おおさか介護かがやき表彰
大阪府は18年度から「おおさか介護かがやき表彰」の事業をスタート。離職率などの数値目標は設定せず、介護ロボットの導入や、ICTの活用など労働環境と処遇の改善に繋げる取組みをしている事業所を表彰する(表3)。
表彰することで、事業所での人材定着・育成を促進するとともに、その取組みを他事業所に横展開していくことが目的だ。第1回目となる今回は10法人13事業所が表彰された。
厚生労働省は介護職員の離職防止や人材確保のため、離職率の低い事業所や人材育成制度を構築している介護事業所を評価する、「認証評価制度」の普及に向けたガイドラインを2019年度に策定する方針を示している。今年度中に、認証制度を実施している自治体の取組み内容を把握し、その結果を元にガイドラインを作成して全国での実施を後押しする。介護事業所の育成体制や労働環境を見える化することで、就職時の指標としての活用などが期待される。全国に先駆けて、介護事業所の育成体制評価に取組む自治体を紹介する(2019年1月10日号8面に関連記事)。
ステップアップする評価制度
きょうと福祉人材育成認証制度
京都府では2013年4月より人材育成や定着に向けた環境整備に取組んでいる事業所を認証する「きょうと福祉人材育成認証制度」を実施している。宣言→認証→上位認証の順にステップアップし、昨年4月時点で宣言615法人、認証269法人、上位認証7法人となっている。
認証を受けるには、まず人材育成に取組むことを「宣言」する。宣言から2年経過後で▽新人教育の充実▽未来を描ける職場▽社員を大切にする職場▽外部との交流――の4分野17項目(表1)について実施できているかセルフチェックし、満たしている場合に「認証」を受けられる。
さらに、認証取得後2年が経過した法人で▽福祉業界の魅力の発信▽キャリアパス・人材育成▽意欲に繋がる評価・待遇▽働き甲斐・働きやすさ▽社会貢献・コンプライアンス――の5分野112項目と、離職率などの数値評価を満たした場合に「上位認証」となる。
一番困難となっているのが有給取得率40%以上と離職率(正規社員16%未満、新卒20%未満)。京都府では宣言・認証法人が受けることができる研修を実施。人材育成計画の策定方法や、キャリアパス作成などのサポートを行っている。
京都府が昨年3月に認証事業者に行った離職率のアンケート結果と介護労働安定センターが昨年8月に公表した全国の介護事業者の離職率を比較したところ、全国平均16.2%に対し、上位認証法人で5.9%、認証事業者8.3%と約8~10ポイント差があった。
また現場で働く若手職員にスポットをあてた、「福祉の星」としてホームページ上でのインタビューやウェブムービーの公開、上位認証事業所の取組みをまとめた冊子を作成し、人材育成のノウハウの共有などにも取組んでいる。
かながわベスト介護セレクト20
神奈川県では、16年度より、介護を頑張る事業所を応援する独自の取組みとして「かながわベスト介護セレクト20」を実施している。介護サービスの質向上や人材育成、処遇改善に顕著な成果をあげた介護サービス事業所等を表彰し、1事業所につき奨励金100万円を交付する。現在、57事業所が表彰されている。
まずは神奈川県内の事業所が質の高いサービス提供を目指すことを宣言する(かながわ介護サービス等向上宣言)。その後、サービスの質や人材育成、処遇改善等について一定の水準をクリアした場合に優良介護サービス事業所として「かながわ認証」が行われ、さらなるサービスの質向上を実践した事業所を「かながわベスト介護セレクト20」として表彰する。
「かながわ認証」では、大きく①要介護度の維持・改善や認知症対応などの「サービスの質向上」②離職率や職場環境整備など「人材育成・処遇改善」③その他――の3つについて要介護度の変化や有給取得率、認知症高齢者への対応など13項目を点数化した(表2)。評価合計点が6割以上の事業所を認証する。
職場環境づくりを表彰
静岡県優良介護事業所表彰
静岡県が17年度に創設した「静岡県優良介護事業所表彰」は、介護人材確保やサービスの質向上を目的に、職場環境づくり等に取り組む介護事業所を表彰する。「職場環境改善部門」と「サービスの質向上部門」の2部門について評価を行う。
職場環境改善部門では▽離職防止・定着促進▽人材育成のための取組み▽福利厚生の充実や職場環境改善のための取組み――の3つ。サービスの質向上部門では、▽要介護度の維持・改善のための取組み▽利用者1人ひとりの個性や生活リズムを尊重した取組み▽地域力向上または、質向上の取組み――の3つ。
上記6項目のうち、いずれかの取組みを積極的に行って顕著な成果を挙げた事業所を評価する。取組み内容のほか、離職率や勤続年数などについても評価する。17年度は10事業所が表彰された。
おおさか介護かがやき表彰
大阪府は18年度から「おおさか介護かがやき表彰」の事業をスタート。離職率などの数値目標は設定せず、介護ロボットの導入や、ICTの活用など労働環境と処遇の改善に繋げる取組みをしている事業所を表彰する(表3)。
表彰することで、事業所での人材定着・育成を促進するとともに、その取組みを他事業所に横展開していくことが目的だ。第1回目となる今回は10法人13事業所が表彰された。
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