人手不足解消へ 外国人人材へ活路
人手不足解消へ 外国人人材へ活路:
12月8日、参議院本会議で「改正入管法」が成立し、在留資格として「特定技能」が新設されることになった。介護分野ではこれまでEPA(経済連携協定)による「特定活動」、留学して介護福祉士の試験に合格することで得られる「介護」、技能移転を目的とした「技能実習」の3種類が在留資格として認められていた。今回の「特定技能」により4つ目のルートが加わる。それぞれの在留資格の特徴を解説するとともに、送出し国の取組みや、受け入れ側の施設の体制について事例紹介を行う。
「在留資格」それぞれの特徴
在留資格「特定活動」
経済連携協定(EPA)に基づき介護福祉士候補者、看護師候補者として受け入れる。在留が認められる期間は介護福祉士候補者は4年間、看護師候補者は3年間。2008年にインドネシア、09年にフィリピン、14年にベトナムと協定を締結し、受け入れを開始した。
入国前後で合計1年間の日本語学習が必須で、その間にマッチングを行い、修了後配属となる。就学と就労の2つのルートがあり、就学コースでは2年間介護福祉士養成校で学び、介護福祉士合格を目指すが、3国とも現在、就学コースを認めていない。
就労コースでは介護事業所で雇用契約に基づき働きながら、介護福祉士の資格取得を目指す。就労・研修の後、看護師候補者は1年目から、看護福祉士候補者は4年目に試験を受験し合格すれば、以後日本での滞在が可能になる。ビザの更新は3年ごとに必要だが、更新回数の制限がなくなる。
3年目又は4年目の試験で不合格の場合でも、試験の合格点の半分以上の点数を取れば、1年間滞在を延長することができ、4年目又は5年目に再受験することも可能。
EPAは送出しにも要件があり、一定の看護教育課程を修了するか、高等教育を修了し政府の認定が必要。そのため、介護や看護に関する基本知識や技術が身についた状態で来日することになる。 また日本語要件として、インドネシアとフィリピンは日本語能力試験N5以上、ベトナムではより厳しくN3以上としている。
受け入れが認められる事業所は、予防と地域密着型を含む施設サービスや、これらと一体的に運営される通所介護や通所リハなど。また、就労可能なサービスは17年4月から訪問系も認められたため、介護福祉士を取得すれば居宅介護支援以外のサービスに従事できる。
処遇面では、日本人と同等額以上の報酬や、社会保険・労働保険の整備などが要件。17年までで受け入れ人数の累計は4,730人。
在留資格「介護」
16年の入管法改正に基づき17年の9月から在留資格に新たに「介護」が認められた。在留資格「留学」で入国し、介護福祉士養成校で2年間学んだ後、介護福祉士国家試験に合格することで、在留資格「介護」に変更可能になる。
留学中は合格するまではアルバイトとして週28時間まで就労することができ、介護福祉士資格取得後は週40時間介護業務に従事できるようになる。
介護福祉士の資格を取得すると、就労可能な介護サービスに制限はなく、施設、在宅で働くことができる。ビザは5年間で更新回数の制限なし。
「留学」として従事する場合は日本人の無資格者と同等の賃金が望ましいとされる。「介護」で働く際の待遇面は、日本人と同等要件で雇う必要がある。18年6月時点で177人が在留している。
在留資格「技能実習」
17年11月から外国人技能実習制度に介護分野での受け入れが始まった。技能移転を通じた発展途上国への国際協力を目的に、実習実施施設で最大5年間実習という形で介護業務に従事する。
介護固有要件として日本語能力検定では入国時点でN4が必要。また2年目にN3の取得が必要で、同時に筆記と実技による技能評価試験初級の合格が必須。筆記は〇×形式で介護業務の考え方や身体介護に関する知識など5分野から出題される。実技では身体介護と安全衛生管理の2分野について実施する。
4年以上滞在する場合は1カ月以上一時帰国し、介護技能評価試験の上級に合格する必要がある。同時に監理団体と実習指導者が優良であると認められなければならない。
受け入れ人数は常勤職員数に応じて決まる。適正な体制を担保する観点から常勤職員50人以下の事業所では10%が上限。給与は各都道府県の最低賃金以上としている。
入国には日本語要件の他、日常場面での介護経験や看護課程の修了が必要。ただし、経験がなくても必要性が認められれば入国可能なため、技術面では他の資格より低いと考えられる。
在留資格「特定技能」
4月から施行される改正入管法で新たな在留資格として「特定技能」が認められた。介護を含む14業種が対象となる1号では最長5年間従事可能。政府基本方針に人材不足への対応と明記され、一定の専門性・技能をもち即戦力となる人材を受け入れるとしている。
日本語能力水準はある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度を基本としつつ、業務上必要な能力水準に応じたものとした。資格取得には技能・日本語の能力を測定するための試験を通過する必要がある。
4月からの受入れ開始に向け現在詳細について議論中で、今年度内の閣議決定を予定。介護施設での業務が対象で訪問介護は対象外とされた。人数は初年度5,000人、5年後に6万人の受入れを見込んでいる。
12月8日、参議院本会議で「改正入管法」が成立し、在留資格として「特定技能」が新設されることになった。介護分野ではこれまでEPA(経済連携協定)による「特定活動」、留学して介護福祉士の試験に合格することで得られる「介護」、技能移転を目的とした「技能実習」の3種類が在留資格として認められていた。今回の「特定技能」により4つ目のルートが加わる。それぞれの在留資格の特徴を解説するとともに、送出し国の取組みや、受け入れ側の施設の体制について事例紹介を行う。
「在留資格」それぞれの特徴
在留資格「特定活動」
経済連携協定(EPA)に基づき介護福祉士候補者、看護師候補者として受け入れる。在留が認められる期間は介護福祉士候補者は4年間、看護師候補者は3年間。2008年にインドネシア、09年にフィリピン、14年にベトナムと協定を締結し、受け入れを開始した。
入国前後で合計1年間の日本語学習が必須で、その間にマッチングを行い、修了後配属となる。就学と就労の2つのルートがあり、就学コースでは2年間介護福祉士養成校で学び、介護福祉士合格を目指すが、3国とも現在、就学コースを認めていない。
就労コースでは介護事業所で雇用契約に基づき働きながら、介護福祉士の資格取得を目指す。就労・研修の後、看護師候補者は1年目から、看護福祉士候補者は4年目に試験を受験し合格すれば、以後日本での滞在が可能になる。ビザの更新は3年ごとに必要だが、更新回数の制限がなくなる。
3年目又は4年目の試験で不合格の場合でも、試験の合格点の半分以上の点数を取れば、1年間滞在を延長することができ、4年目又は5年目に再受験することも可能。
EPAは送出しにも要件があり、一定の看護教育課程を修了するか、高等教育を修了し政府の認定が必要。そのため、介護や看護に関する基本知識や技術が身についた状態で来日することになる。 また日本語要件として、インドネシアとフィリピンは日本語能力試験N5以上、ベトナムではより厳しくN3以上としている。
受け入れが認められる事業所は、予防と地域密着型を含む施設サービスや、これらと一体的に運営される通所介護や通所リハなど。また、就労可能なサービスは17年4月から訪問系も認められたため、介護福祉士を取得すれば居宅介護支援以外のサービスに従事できる。
処遇面では、日本人と同等額以上の報酬や、社会保険・労働保険の整備などが要件。17年までで受け入れ人数の累計は4,730人。
在留資格「介護」
16年の入管法改正に基づき17年の9月から在留資格に新たに「介護」が認められた。在留資格「留学」で入国し、介護福祉士養成校で2年間学んだ後、介護福祉士国家試験に合格することで、在留資格「介護」に変更可能になる。
留学中は合格するまではアルバイトとして週28時間まで就労することができ、介護福祉士資格取得後は週40時間介護業務に従事できるようになる。
介護福祉士の資格を取得すると、就労可能な介護サービスに制限はなく、施設、在宅で働くことができる。ビザは5年間で更新回数の制限なし。
「留学」として従事する場合は日本人の無資格者と同等の賃金が望ましいとされる。「介護」で働く際の待遇面は、日本人と同等要件で雇う必要がある。18年6月時点で177人が在留している。
在留資格「技能実習」
17年11月から外国人技能実習制度に介護分野での受け入れが始まった。技能移転を通じた発展途上国への国際協力を目的に、実習実施施設で最大5年間実習という形で介護業務に従事する。
介護固有要件として日本語能力検定では入国時点でN4が必要。また2年目にN3の取得が必要で、同時に筆記と実技による技能評価試験初級の合格が必須。筆記は〇×形式で介護業務の考え方や身体介護に関する知識など5分野から出題される。実技では身体介護と安全衛生管理の2分野について実施する。
4年以上滞在する場合は1カ月以上一時帰国し、介護技能評価試験の上級に合格する必要がある。同時に監理団体と実習指導者が優良であると認められなければならない。
受け入れ人数は常勤職員数に応じて決まる。適正な体制を担保する観点から常勤職員50人以下の事業所では10%が上限。給与は各都道府県の最低賃金以上としている。
入国には日本語要件の他、日常場面での介護経験や看護課程の修了が必要。ただし、経験がなくても必要性が認められれば入国可能なため、技術面では他の資格より低いと考えられる。
在留資格「特定技能」
4月から施行される改正入管法で新たな在留資格として「特定技能」が認められた。介護を含む14業種が対象となる1号では最長5年間従事可能。政府基本方針に人材不足への対応と明記され、一定の専門性・技能をもち即戦力となる人材を受け入れるとしている。
日本語能力水準はある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度を基本としつつ、業務上必要な能力水準に応じたものとした。資格取得には技能・日本語の能力を測定するための試験を通過する必要がある。
4月からの受入れ開始に向け現在詳細について議論中で、今年度内の閣議決定を予定。介護施設での業務が対象で訪問介護は対象外とされた。人数は初年度5,000人、5年後に6万人の受入れを見込んでいる。
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