日本の家庭に眠る”かくれ資産”総額は推計37兆円ーフリマアプリでの平均売買価格から算出、1世帯あたり約70万円、金融・不動産に続く第三の資産ー

日本の家庭に眠る”かくれ資産”総額は推計37兆円ーフリマアプリでの平均売買価格から算出、1世帯あたり約70万円、金融・不動産に続く第三の資産ー: スマホのフリマアプリを介した個人間の中古品売買の勢いが増している。フリマアプリ最大手のメルカリは、2018年7月にサービス開始5周年を迎えたが、ダウンロード数は7,100万、利用者数は月間1,000万人、累計出品数は10億点を越えるそうだ。



このような中で、家庭に眠る不要品への注目が高まっている。自分にとっては不要品であっても、必要としている人へ上手く売ることができれば、案外、お金になるのかもしれない。



そこで、ニッセイ基礎研究所では、日本の一般家庭に眠る不要品の総量(=「かくれ資産」)に関する調査と「かくれ資産」の推計を監修した*



調査は、全国の10~60代の男女2,536名を対象とした。調査では、家庭にある不要品の個数をカテゴリーごとに尋ねる(例えば、服飾雑貨や書籍、子どものおもちゃなど)ほか、不要品の処分方法の希望手段や日頃の消費行動なども尋ねた。



家庭に眠る不要品を「かくれ資産」と定義し、その金額を推計する際は、不要品の処分方法として、近年、人気が高まるフリマアプリに注目し、調査より得られたカテゴリーごとの不要品の個数に、メルカリでの平均売買価格(メルカリからのデータ提供)をかけあわせた。



その結果、日本の「かくれ資産」総額は、推計37兆177万円。1世帯あたり約70万円となった。なお、厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、2017年の労働者1人あたりの年間賞与平均支給額74万7,156円である、1世帯あたりの「かくれ資産」はこれに迫る金額である。



これまでは資産と言えば、一般的には金融資産や不動産を指していたが、「かくれ資産」は、これらに続く第三の資産と言える。今後さらなる活用が見込まれる潜在的資産だ。



なお、経済産業省「平成28年電子商取引に関する市場調査(2017年4月)」によると、過去1年間に不用となった製品の推定価値は総額7兆6,254億円とのことだ。今回の推計では、これを大きく上回っている。



金額が乖離した理由は、①経済産業省のデータは「過去一年間に不用となった品物の推定価値」である一方、今回の調査は、過去からの蓄積を含めて「潜在的な不要品の推定価値」であること、②今回参照した平均売買価格はフリマアプリのものであり、こうした個人間取引では、比較的高めの価格で売買される傾向があると考えられるためだ。



ところで、調査では「かくれ資産」の予想額も尋ねたところ、8万8,169円であったが、実際には「かくれ資産」の平均額は1人当たり28万1,277円であり、予想の3倍を上回っていた。家庭には想像以上に多額の「かくれ資産」が眠っている可能性がある。なお、今回の「かくれ資産」の推計には、自動車やバイクなどは含まれていないため、家の中にあるモノだけで約30万円のかくれ資産が眠っているということになる。



また、個人の「かくれ資産」は年齢とおおむね比例しており、最もが多いのは60代以上の女性で、1人当たり49万7,856円であった(10代の3.5倍)。



「かくれ資産」の内訳は、服飾雑貨が4割、書籍・CD・ゲーム類が2割、家具・家電・雑貨が2割弱であった。女性は服飾雑貨が、男性は書籍・CD・ゲームが多い傾向があった。



また、年収に対する「かくれ資産」の割合は平均13.0%であり、20%以上を「かくれ資産家」と設定すると(全体の17.4%)、その買い物行動には「ネットショッピング好き」、「新品好き」、「色ち買い(同じアイテムを色違いで買う)しがち」という特徴があった。10~30代の若い「かくれ資産家」には「流行に敏感」「リア充」(好奇心旺盛で多趣味、友達が多い)という特徴もあった。



一方で、一年前と比べて「かくれ資産」の金額は減少していた(1人当たり▲5,947円)。これは、フリマアプリやオークションサイトなどのWEBサービスを利用した個人間取引が浸透しつつあるためだろう。今回の調査結果でも、フリマアプリの利用希望者は、昨年の2.5倍に増加している。



「売るときのことを考えて買う」という消費行動は、これまでも住宅や自動車の購入では見られてきたものだ。しかし、フリマアプリの浸透によって、日用品などの身近なモノにまで広がっている。また、若者を中心に、モノの「所有」から「利用」へという価値観も強まっている。



2019年10月には消費税率が10%へと引き上げられる。家計の負担がじわりと増す中で、家庭に眠るかくれ資産に目を向ける消費者が増え、ますますフリマアプリ市場は盛り上がるのではないか。



 




*1 調査実施は、アサツーディ・ケイと電通が設立した株式会社ドリルが主体となり2018年9月に発足した「みんなのかくれ資産調査委員会」。
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